幅広い領域の内科

内科一般イメージ

当診療科は内科疾患全般を診察します。腹痛、嘔吐・吐き気、下痢などの急性の症状や、咳が長引く、便秘が続いている、頭痛や物忘れが気になる、アレルギー疾患(花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎 など)に悩んでいる、トイレが近い、不眠を何とかしたい、熟睡した感じがしない、腰痛が長期間続いているなど、お体で気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
当院では診察を行い、必要であれば血液検査、尿検査、X線撮影(レントゲン)、超音波検査、心電図検査を行うことができます。入院加療、高度な医療機器による検査や治療が必要と医師が判断した場合は当院と提携する医療機関(総合病院 など)を紹介いたします。
体調不良の感じ方には個人差が大きく、ご自身の体調不良がどの診療科に行けばよいかわからないという場合もお気軽に受診ください。診察や検査を行い、総合病院への紹介が必要と判断した場合は、望ましいと思われる診療科をご紹介いたします。

COPD

肺気腫や慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれます。主に喫煙によるタバコの煙や有害物質を長期に渡って吸入することで、気管支に慢性的な炎症が生じ、肺胞と呼ばれる酸素の取り込みを行う部分が破壊され、肺の機能が低下します。主な症状は息の吐きづらさ、咳や痰がしつこく出続ける、息切れ、疲れやすい、体重の減少などです。
風邪や肺炎などの感染症を契機に症状が増悪することがあります。酸素の吸入が必要など、重篤な場合は入院治療が必要となります。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを定期的に接種することで、この増悪のリスクを下げることができます。
治療のメインは禁煙と吸入薬です。症状の重症度に応じて、長時間作用性抗コリン薬に長時間作用性β2刺激薬や吸入ステロイド薬を組み合わせた吸入薬を使用します。吸入薬は症状の軽減や症状の増悪のリスクを下げることが可能です。慢性的に酸素の値が低い方には、在宅酸素療法と呼ばれるご自宅や外出先でも酸素吸入が可能となる装置を使用します。

気管支喘息

気管支のアレルギー反応によって、炎症が生じて空気の通り道である気管支が狭くなり、呼吸困難や咳、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューの呼吸音)などの症状がみられるようになります。アレルゲン(アレルギーの原因となる物質:ハウスダスト、花粉 など)によって引き起こされることが多いですが、風邪や喫煙、気候の変動などが刺激となって発症するケースもあります。当院では原因となるアレルゲンを調べる検査を行うことが可能です。
COPDと異なる点は、喘息では狭くなった気管支を薬剤によって広げることが可能(可逆性がある)ですがCOPDでは薬剤を使用しても気管支を広げることができません(可逆性がない)。喘息の方の中には普段は問題なく過ごされているものの、風邪を引いたときだけ前述の症状が出る方がいらっしゃいます。気管支の炎症は症状が出ている時だけでなく、症状が出ていないときにも持続しているため、日頃から継続的に治療を行うことで、風邪を引いたときにも症状が悪化しなくなります。
治療の中心は吸入ステロイドが中心です。喘息の重症度に応じてステロイドの量の調整や長時間作用性β2刺激薬、内服薬の追加を検討します。吸入薬を使用した後は必ずうがいを行うようにしてください。ステロイド薬がのどに付着することによって、のどの違和感や口内炎、口腔内カンジダを引き起こす可能性があります。うがいができない場合は水を飲むようにしてください。

長く続く咳

咳は持続期間によって次の3つに分類されます。持続期間が3週間以内のものを急性咳嗽、3~8週間以内のものを遷延性咳嗽、8週間以上のものを慢性咳嗽と呼びます。一般的に風邪を引いた後に咳が続く場合は感冒後咳嗽と呼ばれ、急性咳嗽の代表的な原因です。症状に応じて咳止めなどによる対症療法で経過をみるケースが多いです。持続期間が3週間を超えた場合は、感染症以外の原因を考える必要があります。頻度が多いものだと、咳喘息、アトピー喘息、逆流性食道炎、後鼻漏が挙げられます。原因は1つではなく、重複しているケースもあります。
咳喘息は慢性咳嗽の中で最も多い原因です。気管支喘息と同じく気管支のアレルギー反応によって気管支が狭くなることで生じます。ただ、気管支喘息のようにヒューヒューとした喘鳴はなく、症状は咳だけである点が異なります。症状は1日の間で変動があり、特に夜間〜早朝に強く、日中は軽くなることが特徴です。女性に多く、幼いころに喘息(小児喘息)といわれたことがある方や、アレルギー(ハウスダスト、花粉症 など)・アトピー性皮膚炎のある方、新たにペットを飼い始めた方などでみられやすいです。治療は気管支喘息と同じく、吸入ステロイド薬です。
アトピー咳嗽はアトピー性素因のある方が、「コンコン」という淡が絡まない乾いた咳が続く点が特徴です。アレルギーによって、のどにイガイガとした違和感を伴うことがあります。血液検査でアレルギーの有無や原因となる物質を調べます。好酸球や血清総IgEといった項目でアレルギー反応の有無を評価し、特異的IgE抗体でアレルゲンの特定を行うことが可能です。治療はアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬を使用します。
逆流性食道炎では胃酸が食道内に逆流し、その際の刺激によって咳が生じます。典型例は、当初は感染症によって咳が出ていたものの、咳き込みによって嘔吐や嘔吐しかけることで、胃酸が逆流し逆流性食道炎を発症し、感染症が治癒した後も逆流性食道炎によって咳が出る、というパターンです。通常の逆流性食道炎と異なり、胸やけの自覚がなく症状が咳しかない場合は、診断に時間を要することがあります。会話や上半身の前屈で咳が誘発される、または直近で体重の増加がある場合は、可能性が高くなります。逆流性食道炎の治療と同様にPPIという、胃酸を抑える薬剤を使用することで咳が収まります。
後鼻漏は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などによって生じた鼻汁が、鼻の穴ではなく後ろからのどに流れ落ちる状態です。咽頭や喉頭に鼻汁が垂れ込むことで咳が誘発されます。また、後鼻漏の中には副鼻腔気管支症候群といって、慢性的な副鼻腔炎と気管支炎や気管支拡張症を合併した病状が原因となっているケースもあります。アレルギーが原因の場合は、抗ヒスタミン薬を使用します。副鼻腔炎の場合は、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質を長期間服用することが推奨されています。
「風邪を引いた後は咳がなかなか治らない」という方は、ぜひ一度医療機関を受診してください。

逆流性食道炎

胃と食道の間には下部食道括約筋と呼ばれる筋肉が存在し、この筋肉が働くことで胃の内容物の逆流を防ぐという役割があります。ただ何らかの原因によってこの筋肉が緩むと胃酸を含む胃液や消化中の内容物が食道へと逆流することがあります。食道の粘膜は胃粘膜とは異なり、胃酸に耐えられる構造にはなっていないのでただれやすく、炎症を起こすようになります。これが逆流性食道炎です。

お酒の飲み過ぎ、肥満、高脂肪食の過剰摂取、喫煙、カフェインの摂り過ぎなどが、下部食道括約筋が緩む原因として挙げられます。そのほかにも食道裂孔ヘルニアや胃の手術がきっかけとなって起きることがあります。
症状には胸痛、胸やけ、呑酸(すっぱいものが込み上げる)、物の飲み込みにくさなどの食道自体の症状と、咳やのどの違和感、睡眠障害などの食道以外の症状に分けられます。
治療は胃酸の分泌を抑制するPPIが中心で、その他消化管運動を改善する薬剤などが処方されます。

便秘症

便秘は「排便が3日以上ない、または便通は毎日あるが残便感がある状態」と定義されます。便秘にはいくつかのタイプがありますが、最も多いのが弛緩性(しかんせい)便秘と言って、大腸の運動が低下していることで便がなかなか先に進まないことで起こります。食物繊維の摂取不足や筋力低下、運動不足、水分不足、過度なダイエットなどが原因となります。硬くてコロコロとした便が特徴で、便が出にくいことで力んでしまい、痔を伴うことがあります。
便秘になった際はまず、適度な運動や水分をこまめにとることを心がけてください。食物繊維を多く含む食品や発酵食品・乳製品なども便秘を改善する効果が期待できます。排便をする際は上半身を前かがみにすることで、直腸と肛門の角度がまっすぐに近づき、息んだ際に無理な力がかかりにくくなります。
それでも改善が乏しい場合は、緩下剤(かんげざい)の導入を検討します。緩下剤は市販薬も含めると非常にたくさんの種類がありますが、大まかに分けると「便を軟らかくするタイプ」と「腸を刺激して便を肛門へ運ぶタイプ(刺激性下剤)」になります。薬物療法の基本は、前者の「便を軟らかくするタイプ」を適切に使用することです。後者の「腸を刺激するタイプ」は毎日使うというよりは、前者の薬だけで納得できる排便が得られない時に追加で使用する補助的な立ち位置です。というのも、センナに代表される刺激性下剤には長期間使用すると耐性といって、薬の効きが悪くなることが知られています。
また、器質性便秘と言って、腸閉塞や大腸がんなど消化管に通過障害を来していることが原因で便秘を起こしているタイプもあります。このように便秘の原因はひとつとは限りませんので、気になることがあれば医療機関を受診ください。

睡眠障害(不眠症)

不眠症は寝つきが悪い入眠困難と、寝つきは良くても夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒に分けられます。人間は加齢に伴って、体が必要とする睡眠時間は短くなり、また一度にまとめて睡眠をとることが難しくなります。
不眠症の原因は様々ですが、薬の副作用や体の痛み・かゆみなどの体の症状で生じる場合があり、その際は根本的な原因に対する治療が必要です。その他に、睡眠時無呼吸症候群は中途覚醒の原因となるため、無呼吸の程度によってはCPAPと呼ばれる呼吸をサポートする機器を使用します。むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は、いずれも就寝中に下肢に異常が生じることで不眠の原因となります。前者は「ムズムズ、虫が這うような」違和感が生じる点が特徴で、後者は「足がピクピクして寝付けない」という訴えがみられます。いずれも薬物による治療が可能です。うつ病や不安障害などの精神疾患でも、不眠の訴えがよくみられます。
不眠症の方はまず以下の睡眠習慣を試してみてください。

  • 昼寝は昼食後から15時までの間に、1回30分までにとどめる。
  • 寝つきはよくなるが中途覚醒しやすくなるため、眠るための飲酒は避ける。
  • 就床前4時間のカフェイン摂取や就床前1時間の喫煙を避ける。
  • 寝る直前に入浴や激しい運動など、体温が上がる行動は行わない。
  • アラームをセットして、夜中には時計を見ない。

治療可能な原因がなく、睡眠習慣の改善を行った後も不眠症が続く場合は、睡眠薬の使用を検討します。
睡眠薬には様々な種類があります。患者さまの不眠のパターンや日常生活への影響などを考慮して、薬剤の選択を行います。睡眠薬にはふらつきや翌日への効果の持ち越しなどの副作用があり、特に高齢者では転倒に注意が必要です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に息の通り道が閉塞し、無呼吸や低呼吸を引き起こします。その他にいびき、中途覚醒、起床時の頭痛、日中の強い眠気や集中力の低下などがみられます。また夜間の無呼吸によって高血圧や不整脈、虚血性心疾患、脳梗塞のリスクを高めることが分かっています。
ご自宅でアプノモニターと呼ばれる装置を装着し、一晩を過ごすことで無呼吸の検査を行うことができます。検査によって、1時間当たりで無呼吸や低呼吸が起きた回数を示すAHI(無呼吸低呼吸指数)を算出します。AHI≧40の場合は、重症としてCPAPと呼ばれるマスク型の呼吸をサポートする機械を就寝中に装着します。5≦AHI<40の場合は、ポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれる精密検査を追加し、AHI≧20の場合はCPAP治療を行います。CPAP治療に該当しない場合は、マウスピースによる治療が検討されます。
睡眠時無呼吸症候群は患者さま本人では気づきにくい病気のため、周囲の人からいびきがうるさいと指摘を受けたことがある方は一度、当院を受診ください。

骨粗しょう症

骨密度が低下し、骨折をしやすくなる状態です。高齢の女性で特に多くみられる病気ですが、これは女性ホルモンに骨密度を保つ作用があるため、閉経によって女性ホルモンが低下することで骨粗しょう症を発症しやすくなります。その他、他の病気(関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症 など)や薬剤(ステロイドの長期投与 など)の影響によって、骨粗しょう症を発症するケースもあります。骨粗しょう症の方は骨密度が低下していることで、軽微が力でも骨折が生じやすくなります。これを脆弱性骨折と呼びます。脆弱性骨折が起こりやすい部分は、大腿骨の付け根や胸腰椎、手首、肋骨、骨盤などです。特に大腿骨の付け根や胸腰椎を過去に骨折したことがある方はその時点で骨粗しょう症の診断となり、治療が検討されます。その他の部位で脆弱性骨折が起きた場合や、脆弱性骨折を起こしたことがない方は骨密度が基準値以下の場合に骨粗しょう症と診断されます。
骨折をきっかけに外出が自由にできなくなり、介護が必要となる方は多く、要介護・要支援認定へ至った原因のなかで、認知症・脳血管疾患に次いで第3位に位置付けられています。特に大腿骨の付け根の骨折を起こされた方は寝たきりになりやすく、骨粗しょう症と診断をされた方は、健康寿命を伸ばすためにぜひとも治療を受けていただくことをおすすめします。
骨はで破骨細胞と骨芽細胞という2種類の細胞が、それぞれ骨を壊す作業(骨吸収)と骨を作る作業(骨形成)を通じて、常に骨の新陳代謝を行っています。薬物治療は大きく分けると、骨吸収を抑制するものと、骨形成を促進するものに分かれ、いずれも骨密度を上昇させます。以前は内服薬による治療が中心でしたが、最近ではより高い効果が期待できる注射薬が開発されています。脆弱性骨折の有無や年齢・性別など、患者さまの状況に応じて薬剤を使い分けます。
当院では骨密度の検査が必要な方は他の医療機関をご紹介させていただきます。診断や内服薬・注射薬による治療は当院で責任をもって担当させていただきます。